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表紙 趣味 車庫 それから

 漠然とではあったが、少なくとも大学に入学したときには考えていた。将来好きなピアノを自由に弾けるような環境に住みたいと。

 自分の能力では都会でそういう環境を整えられることは出来ないだろう。地方なら土地の価格、隣との距離も取れのではないだろうか。防音や建築費用が軽減される。だから就職先も自然と地方に目を向けていた。「東北地方にだけ工場がある中小企業」を選んだ。入ってみるとそこは自分には充分な会社だった。

 就職してしばらくして車を手に入れ、徐々にであったがそれまでより格段に行動範囲が広がった。一年もしないうちに岩手というところでピアノの他にもうひとつ困ったものに取り付かれた。
 それには「いい景色だあ」と思うところで、必ずといっていいほどでくわした。大自然を身体で受ける乗り物で、自力では生み出すことが出来ないパワーを与えてくれる「バイク」という乗り物だった。コーナーを回っていくバイクをみてかっこいいと思った瞬間に「こりゃ、バイクに嵌るな」と感じた。
 本屋に駆け込みDUCATI888が表紙のクラブマンという雑誌を買った。それには秋のモーターショーで発表されるバイクが乗っていて、そのうち三つにあこがれた。次の春に免許を取り終えるかどうかのときにZRXが手元に来た。それに嬉々として乗った。その後数々?の物欲に負け、気が付けばバイク3台。これらを冬の間も外に置いておくのをかわいそうに思っていた。バイクが安心して冬眠させることができる場所を用意したいなと。
 初めて買ったバイク雑誌で目を奪われたバイク三つ乗り継いできた。憧れといえばだが、自分の執念みたいなものが恐ろしい(笑)。

--ふと。
自分の好きなものはなんだかんだ人に迷惑をかけるものばかり。ピアノの音に、バイクの排気音・・・。人に迷惑をかける分だけ、自分がなんとなく暖かくなるのだろうか・・・。
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 敷地は親に助けてもらって2年程前に購入していた。そこに夢にすこしでも近い環境を得ようと一軒の家を建てることにした。これからの収入に対する不安は大きい。

 地元工務店・設計屋などと並行に「ミサワホーム」「東日本ハウス」「住友林業」などをただ話を聞いたりしてナチュラルな状態(自分の意見は最小限しかいわない。本格和室ひとつにピアノを置けるスペース)で自分の感覚に近いところに設計を寄せてくれる企業に絞った。

 地元工務店・設計屋さんはさすがに安くも高くも家を作れるが、こちらが不勉強であると故意ではないにしろ抜け落ちる点が出てくるような不安があった。ガラスウールだけで遮音が出来ると思っているというレベルの、結果的にピアノの音の大きさを甘く見ているところが多かった。その反面、安く家を上げる事でバイク小屋やピアノの購入資金などにまわせるとも思った。

 メーカーはいずれも設計は的を得ているように見えた。細かいところにもある程度は面倒を見てくれるような気がした。親は保証・リセールバリューなどを考えてメーカーのほうがよいといっていた。工務店系は価格見積もりがあやふやで増額されることも容易に推測された。

 最後に残ったのは「東日本ハウス」と「住友林業」どちらも捨てがたい。どうしようか・・・。ヒノキの家と、集成材の家。モルタルとサイディング。断熱・防音の点で有利とされるモルタルを得意とする住友林業で金銭的にやれるところまでやってみようと決めた。それで間取りとかに不満が大きければ工務店で。趣味的な家になるのか、ありふれた普通の家になるのか。

 趣味をするための専門空間を作りたいが、実現するだろうか・・・

 住友林業を選択して吉と出るか凶と出るか・・・。
住友林業のいいところはがちがちに規格決めされているために、ミスが見つけやすい、でにくい。材料、家の性能的にはそれほど優れていないかもしれないけれど、一応在来工法であること。国内材木を中心に使っていることなどもイメージ的なプラス要因になった。あまり好きでないところは自画自賛とか、大満足の家とか平気で使う点。少なくとも僕にもっとお金があるならばもっといい家を建てるアイデア位はあるので。現状での満足の家は建てられるかもしれないけれど・・・と僻み根性入り。
 他のメーカーとことをすすめたことがないので他社のことはわからない。それでも対応は比較的早く、シンプルな簡素な家だからかもしれないが、間取りの変更なども打ち合わせの時間中に出来上がってきた。価格なども、あやふやながら、もっともらしい計算をしてでてくる。2,3割は儲けに取られているんだろうなと思いつつあまり強く値引き交渉はしなかった。
敷地周辺図
敷地18×40m

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